読書の日記#121「夜ふけに読みたいイギリスの不思議なおとぎ話」を読み終わる。民話から見えるお国柄について考える。

最近ようやく読書熱が戻ってきたのか、本を爆買いしてしまった。また積み本が増えたのでせっせと読書に勤しみたい。

今日というか数日前に吉澤康子+和爾桃子編訳「夜ふけに読みたいイギリスの不思議なおとぎ話」を読み終わった。
この本を読んで思ったのはイギリスの民話の絶妙な癖の強さだ。民話というとある種の道徳の伝達の役割も担っていることから、教訓的な側面が強い。だからこそ、心のきれいな人間が成功し、意地悪な人間は失敗するという筋書きのものが多い。しかし、イギリスの民話には無垢なだけでは悪い人間に騙されてしまい最悪な展開を迎えるのものも少なくなかった。日本でも有名な「赤ずきんちゃん」は狼に食べられておしまいだったし、空が落ちてくると勘違いしためんどりは何もなに遂げられずにただ帰宅するだけであった。
イギリスの民話にはそういう無垢なだけの人間を騙す展開が地味に多い。また、美しく心がきれいなお姫様達も相応の知性を持ち、その賢さ故に成功をおさめており、時には悪魔を騙して成功をおさめるような展開もある。
ここから見るにイギリスという国は根底に無垢な愚か者は悪者の食い物にされるという意識があるのではないか?と思った。確かにイギリスという国は二枚舌外交等なかなかに強かというかずる賢い側面の強い国であるのでそれも納得ではある。
日本の民話に詳しくないのでもしかしたら日本の民話にもそういう話はあるのかもしれないけど、これが私が日本の民話とイギリスの民話を比べて感じた印象だ。