読書の日記#132「罪の終わり」を読み終えるー信仰は不安から生まれるー

最高潮に精神の調子が悪い私です。仕事して終わって飼ってるハムスターを見ながらボーッとしてたら一日が終わりそうです。

数日前に読み終わった東山彰良「罪の終わり」について今日は書いていこうと思います。
この小説はナイチンゲールという隕石が地球のアメリカに落下したことで荒廃としてしまったアメリカが舞台のSF小説です。
食うのにも困窮する世界で食人せざるを得なかった人達の間で持て囃された黒騎士信仰についてライターが調査して書いた体のルポタージュ風の小説になります。
この本を読んで思ったのは信仰は罪の意識が作り上げる共同幻想だということです。黒騎士として祭り上げられてるナサニエル自体はルポタージュを読む限り普通の青年であったけれども、それを見る側が神格化し、自身の罪を罪で洗い流す為に作り上げた信仰が、黒騎士信仰や黒騎士伝説になってるのだと思いました。
実際、信仰というのはある種の共同幻想であり、そこには何かの不安の種があるのだと思います。どうしようもない不安の種を解決する方法として信仰が作り上げられたというのは、今ある歴史的な既存の宗教が人間が生きていく上でどうしようもない不安である「死」から逃れる為に生まれた側面があるところからもわかることだと思います。
そんな信仰が生まれる過程を書いていった小説が本書だと思いました。