シン・ゴジラ感想※ネタバレあり

シン・ゴジラ、観てきました。結論から言うと、自分としてはめちゃくちゃ面白かったですが、割と好みの分かれる部類の映画だと思いました。以下ネタバレMAX。

シン・ゴジラを観た自分の感想

ずっと観てる間、『こんなに面白くていいの…!?!?!すごい…?!?!』ってなってるレベルで面白かった。何というか、メリハリがついてて凄かった。会議シーンとゴジラとの戦闘シーンに大別されてて、戦闘シーンが派手で見ごたえがあったのは勿論、会議シーンもテンポ良く全く飽きなかった(ただし、この会議シーンは後述の通り好みの分かれる点ではある)。

特出するべき点は、恋愛要素が無かった点。これ恋愛要素入れようと思えばいくらでも入れられるのに、あえていれなかったのすごく良かった。例えば、石原さとみの演じたカヨコと主人公の矢口の恋愛とか入れようと思えばいくらでも入れられたのに、いれずにあくまでも他国の役人として、お互い認めあってるようなあくまでも仕事上の付き合いで終わらせたのスゴいと思う。今に限った話じゃないけど、ドラマ作りに恋愛入れる傾向あるのに、それをあえてやらずにドラマ作れてるの最高のだった。

特撮シーンだと、ゴジラのレーザー光線の美しさも凄かった。夜のシーンで暗くなってる中、レーザー光線がビュンビュン飛んでてめっちゃ綺麗だった。その上、大体夜のシーンって画面見やすくするために夜でも明るく撮る傾向あるけど、本作ではそれをしない上にやらなかった結果、レーザー光線が映えててすごく良かった。

あと、最後の無人在来線爆弾ズルすぎでしょwwwwwww

無人在来線爆弾思い付いた人天才かよ…!あれ本当最高だった。映画館じゃなくて家で見てたら、手をバタバタさせながらゲラゲラ笑ったレベルですごい。

個人的にはマジで最高だったし、本当に良かった。

ただ、気になる部分もあった。それは中盤の『家にらず(終電始発で来ている)仕事してる描写』のシーンで、何故かこのシーンだけやたら台詞多用して頑張ってる描写出してたのが…!他のシーンだと台詞でダイレクトに説明してるとこあまりないのにここだけやたら説明口調でイマイチだった。あれ普通に写真や帰ってない描写や風呂入らずに仕事してる描写で十分だったと思う。

 

②好みの分かれると思った理由

好み分かれると思ったのは、割と地味なシーンが多いところなんだよな。

手続き的なところはしょらずにしっかりやってて会議シーンが長いんだけど、これ好み分かれると思った。個人的にはここは魅力だと思うけど、そういう細かい作り込みじゃなくて単にアクション観たいだけの層にはここはウケない気がする。もちろん、本作の会議シーンはかなりテンポいい上に作り込み半端ないんだけど、そもそもこういうのを求めてない層にはウケないと思った。

あと本作はVS物じゃないから、派手な戦闘シーンが他の特撮と比べて少なくて会議シーンの割合が多いのも好み分かれるかと。その分戦闘シーンはめっちゃ迫力あってインパクト凄いんだけど、派手な戦闘シーン観たさで来てる人はそこに至る前の会議シーンで飽きそうだと思った。

 

総合すると、好み分かれるだろうけど好きな人はがっつり刺さるタイプの映画で、自分は大好きなやつでした!!!

「ナイトクローラー」

 

映画が好きな人の間で話題沸騰中の「ナイトクローラー」観てきた!!!他の人が観てると観たくなるアレです。

以下、パンフレットの監督のインタビューを踏まえて映画のネタバレしながら感想を書きます。これはネタバレ観ても楽しめるタイプの映画だとは思うけど、名作なので未視聴の方はネタバレ見ないで観た方が良いかと…

 

あと、パンフレットは監督のインタビューとか載ってるので買った方がいいかと思う。監督インタビュー以外も面白かった。

 

 

 

「ナイトクローラー」(2014/アメリカ/118分)

監督:ダン・ギルロイ/脚本:ダン・ギルロイ

 

簡単に言えば、パパラッチの奮闘を描いた映画。パパラッチっていうと、芸能人をつけ回して恋愛沙汰とかのスキャンダルを引っこ抜く人のイメージがあるけど、本映画のパパラッチはそういうタイプのパパラッチじゃなくて、犯罪現場や事故現場の映像を半ば無理矢理撮影する人が出てくる(タイトルの「ナイトクローラー」はこういうタイプのパパラッチを意味する言葉)。日本の報道とかで、犯罪被害者とかを執拗に追い回して撮影してる人達が近い存在かと。

 

◆シナリオ周りの凄いと思ったところ

まず、主人公のルイスが迷うところを出さなかったのが凄い。大体こういう人の不幸を飯のタネにするアングラな仕事の話だと、大体主人公が悩みを見せて仕事の是非の話になりがちなんだけど、この映画ではそういう部分が殆どない。最初からルイスは一貫して不幸を飯のタネにすることに迷いがない。主人公の葛藤を出さなかったことの利点は、物語の停滞を防ぐことだと思う。主人公が悩むと話が進まなくなりやすいので、アクション映画でないのにアクション映画以上の疾走感があるのはこのお陰だと思う。

※勿論だけど、キャラの葛藤を出すことで感情移入しやすくしたり、タメを作ることで爽快感を出すこともできるので、葛藤を描くことがダメだというつもりはない、というか基本的には葛藤とか抜かすと薄っぺらくなりやすいから、描かなきゃ不味いところで描かないとダメだと思ってる。

 

次に、上でも書いたけど疾走感が凄い。疾走感ってアクション映画やサスペンス映画だとアクション等をしてれば割と疾走感出しやすい。他方、非アクション映画だと話の進みが上手くないと出せない印象があるんだけど、「ナイトクローラー」はマジで疾走感が半端ない。カーアクションしてるところも寄与してるんだろうけれども、それ以上に主人公が迷わずにボコボコ進んでいくところが最高に清々しくて疾走感がある。

 

◆歪な行動倫理を持つ主人公・ルイスについて

パンフレットの監督のインタビューによると、ルイスは「人々との結び付きを求めながらも口をつく言葉がことごとく外れている」人物だそうだ。その結果、彼は社会に完全に合わせることが出来ずに物語開始時には孤立していた。

確かに彼の行動はかなりズレている。ニーナに若干チヤホヤされた瞬間にどや顔で自己語りし始めた頃はクソ痛い男程度だったが、自信をつけるにつれて完全に彼女を支配しようとし始める。部下への対応も部下を支配するように行動しており、それが上手くいかなくなり始めたリックのことを最終的には殺している。彼の行動は基本的に上下しかなく、自己と同格の人間と関係性を作るという意識がない。まぁ会社に関しては、ワンマンで回した方が効率良いのでルイスの行動が間違っているとは言いがたい部分はあるが。

 

ルイスが人との交流を求めているのはニーナへの執着の度合いでもわかる。作中でルイスは成功し車を高級車に乗り換えても、ずっと自分と歳が明らかに離れたニーナにずっと執着していた。これは成功のステータスとして女性を求めるのであれば誰もが羨む若い女性(ニュースキャスターの女性とか)を求め始めるにも関わらず、ルイスはずっとニーナを求めている。これは彼が成功の証として女性を求めているというよりも、ニーナとの人的な結び付きや交流を求めていることの現れであるように感じた。

 

◆これは究極のサクセスストーリー?

パンフレットの監督インタビューの見出しが「これは究極のサクセスストーリーだ」となっているように、「ナイトクローラー」は主人公のサクセスストーリーである。ただ、いわゆるサクセスストーリーの映画は主人公が社会的に模範的な人物であるが、「ナイトクローラー」はむしろ真逆のような人物のサクセスストーリーだ。

主人公のルイスは倫理や道徳という枷を意識せずに行動しており、成功に向けて非常に合理的に進む。パンフレットにもあったが、上記の枷を意識しない方が合理的な最善策が取れる(まぁ、あまり周りに迷惑かけるとチームプレイの場合、長期的には最悪となることの方が多いと思うぞ!ルイスの行動が成功に結び付いたのはフリーランス形態であるナイトクローラーだからだと思う)。これらを全面に出してサクセスストーリーを描いた、究極のサクセスストーリーが「ナイトクローラー」である。

 

the tribe(ザ・トライブ)は聾学校版○○

 

 

「the tribe」(2015)

 

現在アップリンクで公開している「the tribe」を先日観てきた。

公式サイト→http://thetribe.jp

ネタバレなしの感想

この映画は、全部手話で会話しているので言葉での説明がない。だけど、どう話が展開してるのかは観ていればだいたいわかるようになってるし複雑な話ではないので、話がわからなくて????ってなることはあんまりないと思う。言葉での説明がなくても、話ってわかるんだなぁ…。あと、これ過激っていわれてるけど、そこまででもなかった印象。

個人的には面白かった…!ただ、合う合わないはあるとは思う。

余談ですが、この日アップリンクには「超コワすぎ」を観に行くために行ったので、実は当初はこの映画観るつもりはあんまりなかったんだけど、超コワすぎが20時の買いしかチケット取れなかったので、その間の時間を埋めるために観たという経緯が実はある。映画館で観られて良かったと思うから、映画の神様にマジで感謝…! 

 

※以下、ガッツリネタバレ。ネタバレしたくない人は回れ右

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、聾学校リリィ・シュシュじゃね?

 

 

(まぁ、言葉っていう最も分かりやすい伝達手段を使わないで物語を展開していく必要があるので話はそんなに複雑ではなく、リリィ・シュシュほど人間関係複雑ではないので、リリィシュシュって例えが適切でない気もする。正しくないと思いつつも書いちゃったのは、単純に言ってみたかっただけなんじゃ!当たり前だけれども、リリィシュシュのパクリじゃーとか言う意図は全く無い。)

 

以上が端的な自分の感想。

この映画って、金と世間の秩序超えた支配構造と性欲も含めた恋愛感情が話の中心で、要は聾学校が舞台の黒い青春物語だよな。

黒い青春映画っていうと、リリィシュシュも含め、かなり使い古されたネタではあるんだけど、それを言葉を使わずに話を展開するのは新鮮で上手いなぁと思った。

しかも、この映画は手話をただ使っているだけではなくて、登場キャラが耳が聞こえないことを踏まえて、映画が作られているところが本当に良かった。

まず、ただ手話をしてるだけじゃなくて、手話や身振り手振りや声になってない息漏れ(?)とかもあったのが良かった。

あと、良かったのが音の使い方。映画観てた時に、暴力シーン(特に木工加工の教師を襲ったシーン)でやたらと登場人物が音を出してしまう行動を取っていたんだけど、これは登場人物のほとんどが耳が聞こえないから、他人にバレないように音を鳴ら差無いようにすることが出来ないからなのかと気づいた時に感動した。

 

振り返ってみると、丁寧な映画だったなぁと思う。難点は、登場人物が割と似ている上に声での識別が出来ないから、誰が誰か覚えるのが若干大変なところかな。

 

以上